メッキ加工

製品の耐久性や外観を向上させたいと考えたとき、何から手をつけていいか困っていませんか?メッキ加工にはノウハウや技術力が必要で、手間やコスト、品質のバラつきが心配というケースも後を断ちません。

そこで、この記事では、メッキ加工の各種類と特徴、メリット・デメリット、そしてよく見られる問題点やその対策までを網羅的に紹介します。ご自身のプロジェクトにどの種類のメッキが適しているか、コストパフォーマンスをどう考慮すべきかが明確になるでしょう。

弊社では、金属プレス加工全般、深絞り、金型設計製作、ストレーナ各種などに対応しております。また、新規事業としてインテリア雑貨の企画製造販売も行っております。ご相談やご質問は、お気軽にお問い合わせください。

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メッキ加工とは

メッキ加工とは、対象物の表面に金属の薄い皮膜を作り出す表面処理技術です。主な加工の方法は、以下の2つが挙げられます。

メッキ加工の方法特徴
乾式メッキ真空中で金属を蒸着させる方法
湿式メッキ電解質水溶液に漬けながら行う方法

メッキ加工は、それぞれ細かい工程を経た後、製品の洗浄や乾燥などが行われ、最終的に品質検査を経て完成品となります。

メッキ加工の目的

メッキ加工の主要な目的は、素材に追加機能を付与することにあります。具体的には、耐食性、熱特性、耐摩耗性など、元の材料では得られない特徴を与えるために行われます。

また、メッキは製品の耐久性を高め、長期間の使用を可能にすることで、商品としての基準を満たす上で重要な役割を担うものです。さらに、機能メッキの一環として、水を弾きやすくするなど特定の要件に応じた特性を提供することも可能です。

このように、メッキ加工は産業分野を始め、幅広い用途で利用されており、製品の品質と機能性を向上させるために不可欠な表面処理技術となっています。

メッキと塗装の違い

メッキ加工と塗装は、どちらも製品の表面処理技術ですが、以下の違いがあります。

特徴メッキ加工塗装
表面処理の方法化学反応や電気化学反応を用いて金属の薄い層を付着させる塗料を塗布して樹脂や顔料の皮膜を形成する
皮膜の構成金属で構成される樹脂や顔料などで構成される
特性導電性や熱伝導性の向上が可能外観の美しさを持続させるための特性を付与
処理法の種類電気メッキや無電解メッキなど塗料の塗布や粉末塗装など
適用時の選択基準光沢や耐食性が求められる場合配色の自由度や外観要件がある場合

メッキ加工は、金属の薄い皮膜を表面に作り出す技術であり、耐食性や外観の向上を目的としています。一方、塗装は塗料を塗布して皮膜を形成する方法で、外観の美しさを持続させるための特性を与えるものです。

メッキ加工は大別すると3種類

メッキ加工 種類

メッキ加工は大別すると、以下の3つに分けることができます。

メッキ加工の種類

  • 装飾メッキ
  • 防錆メッキ
  • 機能メッキ

装飾メッキ

装飾メッキは、表面を美しく仕上げる目的で使われるメッキ加工の一種です。主に、製品の外観を均一かつ美しく仕上げるために施されます。

例えば、クロムは耐摩耗性に優れ、光沢があるため、自動車部品や水回りの製品に用いられることが一般的です。また、金や銀メッキはアクセサリーや楽器の外観を豪華にするのに用いられます。

防錆メッキ

防錆メッキは、製品や機械部品の錆や腐食を防ぐことを目的として施されます。金属の耐久性を高めるため、”保護メッキ”または”防錆メッキ”とも呼ばれることがあります。

一般的な防錆メッキには、銅、ニッケル、クロムなどの金属が使用されます。防錆メッキは、耐久性の強化や製品寿命の延長にも寄与し、特に水や湿気に触れやすい環境で使用される製品にとって重要な表面処理の1つです。

機能メッキ

機能メッキは、主に工業製品に使用される加工方法です。この方法は素材表面に特定の性質を付与することを目的としています。

例えば、水のはじきやすさを強化する、光の反射を抑制する、熱伝導率を向上させるなどです。そのため、障壁性や摩耗性の強化、摺動性(しゅうどうせい)の改善など、機能メッキの施工は幅広い利用が見込まれています。

代表的なメッキ加工の特徴

メッキ加工にはそれぞれに特有の特徴があり、用途に応じて選ばれます。

メッキ加工の種類特徴
ニッケルメッキ耐食性と耐摩耗性に優れ、美しい光沢を提供する。
無電解ニッケルメッキ均一な厚さでコーティングでき、複雑な形状の物体にも適用可能。
装飾クロームメッキ鏡のような光沢があり、耐食性と耐摩耗性に優れている。
硬質クロームメッキ非常に硬く、耐摩耗性と耐食性に優れ、産業機械などに使用される。
亜鉛メッキ(クロメート・ユニクロ・黒クロメート)優れた耐食性を提供し、鋼材の保護に広く使用される。
アルマイトアルミニウムの耐食性と耐摩耗性を向上させ、色を付けることも可能。
硬質アルマイト通常のアルマイトよりも硬く、より高い耐摩耗性を提供する。
金メッキ優れた導電性と耐食性を持ち、電子部品などに使用される。
錫(すず)メッキ良好なはんだ付け性と耐食性を持ち、食品容器などにも使用される。
化学研磨表面を平滑にし、光沢を与える。
電解研磨表面の微小な凹凸を取り除き、滑らかで光沢のある仕上がりを実現する。

適切なメッキ方法の選択は、製品の性能と寿命に大きな影響を与えるため、用途に応じた選択が重要です。委託先を探す際には、求める機能や加工対象に応じた適切なメッキ加工を提供できる業者を選択することが大切です。

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メッキ加工の方法は主に4つ

メッキ加工の方法は、主に4つが挙げられます。

メッキ加工の方法

  • 電気メッキ
  • 無電解メッキ
  • 乾式メッキ
  • メッキ風塗装

電気メッキ

電気メッキは、対象物品に金属の薄い層を均一にコーティングするメッキ加工の一方式です。加工したい部品をカソード(陰極)として電解液内に浸し、電流を流して陽極(アノード)から金属イオンが対象物に移動し、堆積することでメッキ層が形成されます。

電気メッキの主な利点は、厚みの精密な制御、優れた密着性、均等なコーティングおよび環境に配慮した処理が可能なことです。また、特定の目的に適した多様な金属(例:ニッケル、銅、金、銀など)を使用できるのも特徴です。

耐食性や耐摩耗性の向上、電気的特性の改善、見た目の向上など、多くの理由で工業製品や電子部品、装飾品などに電気メッキが採用されています。

無電解メッキ

無電解メッキは、電気を使用しない化学反応により、金属イオンを被メッキ物の表面に金属膜として析出させる方法です。還元剤が金属イオンに電子を供給し、還元させることで、ほぼ均一な厚さのメッキ膜を形成します。

この技術は自己触媒反応とも呼ばれ、被メッキ物の表面を活性化させることで、複雑な形状や内部の隙間にも均等にメッキ層を形成できます。電解メッキと比較して、無電解メッキは電気量の制御を必要としないため、電流の一様性や表面積のバリエーションに左右されず、複雑な形状でもメッキ厚の均一性を保つことができます。

無電解メッキは、自動車部品から電子機器部品に至るまで幅広い応用範囲があり、特に内部が複雑な部品や、小さい穴が多い部品のメッキに有効です。

乾式メッキ

乾式メッキとは、水溶液を使用せずに行われるメッキ加工方法です。この手法の一種である真空メッキは、特定の装置内で対象物を真空状態にして、金属蒸気を対象物に凝縮させることで、金属層を形成します。

例えば、ケミカルベイパーデポジション(CVD)や物理的蒸着(PVD)などの技術があります。こうした乾式メッキは、非常に薄い膜を均一かつ精密に形成することが可能で、特に電子部品や工業製品で求められる高品質な表面処理に利用されています。

さらに、乾式メッキは湿式メッキと比較して、厚い皮膜を形成しやすく、外乱に強い耐久性を持ったメッキが可能です。このように、乾式メッキは幅広い産業で応用され、特有の品質や機能を材料に付加するために重要な技術となっています。

メッキ風塗装

メッキ風塗装は、通常のメッキ加工とは異なり、実際には金属を基材の表面に被覆するのではなく、「メッキ風の塗料」を用いて表面に塗装する方法です。そのため、金属ではない素材に対してもメタリックな質感を与えることができ、加工可能な素材の範囲が広がります。

メッキに比べて耐久性や耐食性には劣る可能性がありますが、カラーバリエーションが豊富です。メッキ風塗装は、金属の輝きや光沢を模倣でき、例えばプラスチックモデルや小物類の装飾的な用途に適しています。自動車やバイクなどの実用性を重視する分野ではなく、見た目の美しさを優先する場合に好まれる方法です。

メッキ加工のやり方・手順

メッキ加工 やり方 手順

メッキ加工の一般的なやり方・手順は、以下のとおりです。

メッキ加工のやり方・手順

1. 表面処理(洗浄と脱脂)
2. 電解研磨または機械研磨
3. 水洗
4. 除去処理(錆や不純物の除去)
5. 活性化処理
6. メッキ液への浸漬
7. 電流の適用(電気メッキの場合)
8. 追加の水洗
9. 乾燥
10. 仕上げ処理(研磨や磨きなど)

メッキ加工の工程は多岐に渡り、精密な作業が求められます。そのため、委託する場合は、加工の質や耐久性、コストを照らし合わせ、信頼できるメッキ専門店を選ぶことが重要です。

メッキ加工を施す5つのメリット

メッキ加工を施すメリットは、以下が挙げられます。

メッキ加工を施す5つのメリット

  • 見た目が良くなる
  • 耐食性が向上する
  • 機能性が高まる
  • 希少金属を節約できる
  • コストを削減できる

見た目が良くなる

メッキ加工は、厳選された金属を被膜として製品表面に密着させることで、輝きや色調を美しく表現可能です。例えば、クロムメッキは高い硬度により非常に耐摩耗性に優れるだけでなく、水回りの製品などに使用されることで、その輝きを損なうことなく長期間保持できます。

また、金メッキや銀メッキは電子部品だけでなく、アクセサリーやトロフィーなどの装飾品に頻繁に使用され、高級感を与える効果もあります。

耐食性が向上する

メッキ加工は、ニッケル、クロム、銅などのメッキを施すことで、素材の表面を保護し、錆や劣化を防ぎます。例えば、ニッケルメッキの場合、材料の表面を光沢のある仕上がりにするだけでなく、サビを防ぎ、耐熱性も向上させることができます。

クロムメッキは、高い硬度による優れた耐摩耗性を提供し、水回りや自転車部品など錆びやすい製品への使用が一般的です。このようにメッキ加工は製品の耐食性を高める、非常に有効な手段であると言えます。

機能性が高まる

メッキ加工を施すことで、製品の機能性も向上します。特に熱特性や電気特性という点において、メッキは利点をもたらします。熱特性の向上は、例えば金属表面にニッケルメッキを施した場合、その熱伝導率を高めることが可能です。一方、電気特性に関しては、特定のメッキ材料が電子の流れを容易にし、電気伝導性を改善します。

これらの特性は製品の耐久性を強化し、長期的な信頼性を提供するため、多くの工業製品にとって重要です。したがって、メッキ加工は特定の性能を製品に付加する最適な手段の1つとなります。

希少金属を節約できる

メッキ加工により、貴重な金属を部品表面に極めて薄く塗布し、必要最小限に抑えながらも、電子部品の必要とする性能を維持できます。多くの産業分野では、金や銀のような貴重な金属を用いた電子部品が広く利用されていますが、これらの素材は非常に価格が高く、また資源も限られているものです。

具体的には、金メッキは優れた電気伝導性を持つため、電子部品に使用されますが、メッキ加工により全体を金で作るよりも遥かに少ない量で済ますことができます。同様に、メッキは装飾目的で使用する場合にも、見た目を向上させるための希少金属の節約に効果的です。

コストを削減できる

メッキ加工は、製品の性能向上だけでなくコスト削減の面でも利点があります。例えば、製品の表面を金メッキする代わりに、安価な金属でベースメッキを施し、その上から薄い金層をメッキすることで、同様の電気伝導性や装飾的な外観を得つつ、貴金属の使用量とコストを大幅に減らすことができます。

さらに、工業用途においてはメッキを施すことで製品の耐摩耗性を向上させることができるでしょう。結果、部品の交換頻度を低減し、長期間にわたるメンテナンスコストを削減する効果を得られます。

ただし、メッキの種類や施工法によっては初期投資費用がかかることもあるため、コスト削減の利点を最大限に活かすには、製品の要求性能や使用頻度に応じて適切なメッキ処理を選択することが重要です。

メッキ加工のデメリット

メッキ加工のデメリットは、以下のとおりです。

メッキ加工のデメリット

  • 手間がかかる
  • 費用がかかる

手間がかかる

メッキ加工には、前処理、本処理、後処理という3つの手間がかかります。特に前処理はメッキの品質に直結するため、その重要性は非常に高く、製品表面のほこり、油、錆などの不純物を取り除く丁寧な作業が要求されます。

本処理では、メッキを施す金属の準備から電解液の調整、均一な膜厚を達成するための精度の高い管理が必要です。後処理も、メッキされた製品を洗浄し乾燥させる工程に加え、場合によっては焼き入れや塗装を施すこともあります。これらの前後処理が総じて手間と時間を要し、コストや生産性にも影響をおよぼすことがあります。

費用がかかる

メッキ加工は製品に対して多くの利点を提供する一方で、初期費用がかかることもデメリットとして挙げられます。施設や設備は特殊で高価なため、これらの導入には大きな資本投資が必要となります。また、ランニングコストの面でも、メッキ液などの消耗品の購入や、用いた化学薬品の廃液処理にも費用が発生するでしょう。

費用は、大量生産により分散させるか、製品自体の付加価値を高めることでカバーする必要があります。メッキ加工を検討する際には、これらのコスト要因を十分に考慮し、予算計画を立てることが重要です。

メッキ加工で発生する不良の例

メッキ加工 不良品

メッキ加工で発生する不良の例は、以下のとおりです。

メッキ加工で発生する不良の例

  • 密着不良
  • 異物付着
  • 未析出

密着不良

メッキ加工における不良の一種である密着不良は、基材とメッキ層の間の適切な結合がないことで発生します。その原因として、プレトリートメントの流れの不足が挙げられます。

不適切なプレトリートメントにより、メッキと基材の接着が弱まると、メッキが剥がれやすくなるなどの品質問題が発生します。また、基材の状態や成型条件の不適当さも、密着不良につながることがあるため、メッキ前の材料の品質管理も重要です。

密着不良を回避するためには、洗浄、エッチング、触媒処理など、適切なプレトリートメントが重要であり、この過程を怠ることなく、基材との結合力を最大化する工程管理が不可欠です。

異物付着

異物付着は、メッキ加工において発生する不良の一例で、メッキ層の表面に不純物が付着する現象です。この異物付着は概してメッキフィルムの品質や機能に悪影響を及ぼし、製品の外観や耐久性を低下させます。

例えば、湿式メッキの際、メッキ液中の固形浮遊物(金属粒子)が原因で、微小な突起がメッキフィルム表面に生じます。これらの突起は、素材表面の粗さ、乾燥工程時の不完全除脂、または成形工程の不均一さに起因することが多いです。

品質管理および品質保証作業には、装飾品質だけでなく、機能性・製品外観・性能に影響があるため、異物付着の効果的な検査と解析が必要です。

未析出

メッキ加工において、「未析出」は材料表面にメッキが十分に付着していない不良現象を指します。具体的には、金属皮膜のメッキが基材と十分に結合しないことが原因で、「ピット」と呼ばれる表面の小さな窪みや「ピンホール」と呼ばれる基材まで達する穴が見られます。

様々な原因により発生する可能性があり、例えば基材表面の粗さや脱脂不足、成形流れでの不均一などが挙げられます。未析出によって表面に生じたピットやピンホールは、製品の外観品質のみならず、耐久性や機能性にも悪影響を及ぼすため、メッキ加工品の品質保証において重要な検査項目です。

まとめ

メッキ加工とは、対象物の表面に金属の薄い皮膜を作り出す表面処理技術で、装飾メッキ、防錆メッキ、機能メッキの3種類に大別されます。また、加工の方法は、電気メッキ、無電解メッキ、乾式メッキ、メッキ風塗装の4つがあり、それぞれに特有の利点と欠点があります。

しかし、メッキ加工では密着不良、異物付着、未析出などの不良品も発生します。そのため、品質管理や工程管理を徹底できる業者に委託しましょう。

弊社では、金属プレス加工全般、深絞り、金型設計製作、ストレーナ各種などに対応しております。また、新規事業としてインテリア雑貨の企画製造販売も行っております。ご相談やご質問は、お気軽にお問い合わせください。

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